クリニックレターvol.56 特別編 「ブレイクスルー感染とワクチン接種の不安について」

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2021.09.02

クリニックレターvol.56 特別編 「ブレイクスルー感染とワクチン接種の不安について」

大阪府内で新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。府内の緊急事態宣言が9月12日までの延長も決まりました。ワクチン接種率をあげながら、感染予防を継続していく方向性に変更はなく、大阪では一般の方々への通常のワクチン接種を進める中でアストラゼネカ社のワクチン接種も大阪市の大規模接種会場である「マイドームおおさか」にて接種予約が開始になりました。原則「40歳以上の方」「接種する日に18歳以上で個別事情(アレルギーなどで他社のワクチン接種できない方、②海外でアストラゼネカ社製のワクチンを1回目接種済)」ではあるようですが、接種可能な方はご検討ください。

最近、ワクチン接種が進んでいる中で「ブレイクスルー感染」という事が話題になっています。ブレイクスルー感染とは、ワクチン接種後に感染することを意味します。

基本的にワクチン接種を終えてから14日間を経過すれば、抗体が出来上がっていると言われていますが、この期間を経過しても感染する方が少人数ではあるものの、報告されています。国立感染症研究所では、2021年4月1日~6月30日までに27都道府県で130例(うち2回目接種後14日以降67例)が新型コロナウイルスのブレイクスルー感染を起こしていたと発表しています。この結果については、「ワクチンの有効性を否定する結果ではないが、接種後も感染対策を続けることが重要だ」としています。

よって、今できる事はワクチン接種ではありますが接種後であっても、感染対策を緩める事なく、周囲のご家族や同僚の方も接種が接種し終えていくようになっていくまで用心していただけますようお願いいたします。

参考:国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/

また、ワクチン接種するにあたって、ご不安になっているケースもあると思います。

出来るだけ、普段ご通院されている先生とご相談の上でご判断いただきたいと思いますが「アレルギーのある方」「妊娠されている方」について触れさせていただきます。

【アレルギー疾患をお持ちの患者様】

一般社団法人日本アレルギー学会では、「アレルギー疾患の患者さんについても、ほとんどの方でワクチン接種は可能」と発表されています。

  1. 気管支ぜんそくの患者さんも接種が可能です。ぜんそくのコントロールが不良な状態で新型コロナウイルスに感染すると重症化するリスクが他の人より高いとする報告があるため、ぜんそくの治療等で通院・入院されている方は、「基礎疾患を有する者」として優先接種の対象となっています。

  2. 食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのぜんそく以外のアレルギー疾患の方も、接種が可能です。また、多くの食物や薬剤など接種するワクチン成分以外のものに対してアレルギーを持つ方も接種は可能です。ただし、これまでに何らかの物質でアナフィラキシーなどを含む重いアレルギー反応を起こ したことがある方は、接種直後に体調が悪くなったときに速やかに対応ができるよう、接種後は通常より長く(30分間)接種会場で待機して、変化が起きないかの観察を行います。

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【NGなアレルギーのケース】

過去に新型コロナワクチン(mRNA ワクチン)に対してアナフィラキシーなど重いアレルギー反応を起こした方や、同ワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)に対して重いアレルギー反応を起こしたことがある方への接種は推奨しません。また、PEG に似た構造を持つポリソルベートに対して重いアレルギー反応を起こしたことがある方への接種は、専門医による適切な評価と重いアレルギー反応が発症した時の十分な対応ができる体制のもとに限り接種を考慮するべきと考えます。

詳細は下記のアレルギー学会の声明をご参考にしてください。

参考:日本アレルギー学会
https://www.jsa-pr.jp/

【妊娠・授乳中の患者様】

  1. 妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方も、ワクチンを接種できます。日本で承認されている新型コロナワクチンが妊娠、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼすという報告はありません。予防接種法に基づいて、接種をお勧めしています。

  2. アメリカ疾病対策センター(CDC)は妊婦さんへのワクチン接種を強く推奨する声明を出しています。また、日本産婦人科学会でも妊婦さんは時期を問わずワクチン接種をお勧めするとしています。

  3. 妊婦が感染する場合の約8割は、夫やパートナーからの感染です。そこで、妊婦の夫またはパートナーの方は、ワクチンを接種することをご検討ください。

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【注意事項】

  1. 妊娠中、特に妊娠後期に新型コロナウイルスに感染すると、重症化しやすいとされています。

  2. 全国的に感染地域が拡大し、感染の多い地域では感染拡大が過去にない拡大となっています。そのような地域にお住まいの方や、糖尿病、高血圧、気管支喘息などの基礎疾患を合併している方は、ぜひ接種をご検討ください。

  3. 副反応に関し、妊婦さんと一般の人に差はありませんが、発熱した場合には早めに解熱剤を服用するようにしてください。アセトアミノフェンは内服していただいて問題ありませんので頭痛がある場合も内服してください。

  4. 副反応の有無にかかわらず、妊娠の異常(流産、早産、その他)の頻度はワクチンを打たなかった妊婦と同じであると報告されています。

参考:日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/index.php

以上、様々な接種前にご不安なケースもあるかとは存じますがコロナウイルスによる感染は拡大する一方です。緊急事態宣言がこれ以上長引くことを防ぎ、新たな生活様式を形成していくためにも積極的なワクチン接種をご検討ください。

参考:厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/

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