クリニックレター
2022.05.09
クリニックレターvol.64「最近のコロナの状況と最新の治療薬について」
第6波もピークが過ぎ、感染者数も下がり状態でゴールデンウィークを迎えました。欧米でもマスク着用の撤廃や社会制限を解除し、「With コロナ」へと変化していこうとしています。ただ、暮らしを正常化していく流れで今回、日本が大型連休に多くの人流が動いたことにより、新たな感染拡大(第7波)の出現が懸念されています。今回、改めて現状のコロナの感染状況の整理とワクチン以外の現在の最新の治療薬について触れていきたいと思います。
①現在の全国のコロナ陽性患者の状況(左図)
下記は厚生労働省から公式で発表されているデータになります。第6波と言われていた時期(2月頃)よりは減少しているものの、ほぼ横ばいと言える状況です。ただし、ゴールデンウィーク後の感染拡大が懸念されています。
➁性別年代別の陽性者数について(右図)
ワクチン3回目の接種率が65歳以上の高齢者は87.7%です。全体では53.6%(細かい詳細は不明)のためか、10歳未満から40代までの感染者の新規感染者の割合が多いように思われます。1回目、2回目の接種率は8割超えであり、接種券が届けば早めの3回目接種をご検討ください。
参考:厚生労働省HP https://covid19.mhlw.go.jp/
③濃厚接触の定義
最近、「自分は濃厚接触者では?」とお問い合わせが多いです。改めて掲載いたします。
- 患者と同居あるいは長時間の接触(車内・航空機内等を含む)があった者
- 適切な感染防護(マスクの着用など)なしに患者を診察、看護もしくは介護をした者
- 患者の気道分泌液もしくは体液などの汚染物に直接触れた可能性のある者
- その他:手で触れることのできる距離(1メートル)で、必要な感染予防策なしで患者と15分以上の接触のあった者
職場や各施設の担当者が濃厚接触者か否かについては判断を行います。よって、コロナ感染者が発生した場合は所属する場所での判断に従ってください。
④現在のコロナ治療薬の状況について
現在国内では、2つの経口抗ウイルス薬が承認されて使用されています。
・ラゲブリオ:令和3年12月24日に特例承認
・パキロビッド:令和4年2月10日に特例承認
2剤とも、重症化リスクのある患者さんに投与する事で、入院や死亡リスクを低減させる効果が示されています。ただ、現在も軽症患者さんに使用できる飲み薬は無く、咳止め、解熱剤などの対症療法のみとなります。
現在、経口治療薬のラゲブリオ(以降モルヌピラビル)は日本の発熱外来で多く処方されていますが、NIH(米国国立衛生研究所)のガイドラインでは、モルヌピラビルは効果が他剤より劣る可能性があるため、あくまで他の選択肢が使えない場合の手段として位置付けられています。
また、そういう背景から本来はより高い効果が期待できるパキロビッドパックも診療所においてもどんどん活用できる状態が望ましいのですが、供給量がまだまだ少なく併用禁忌の薬剤(一部の高血圧、脂質異常、抗血栓の薬)が多数あり、取り扱いが難しいとされています。
参考:パキロビッドチェックシート
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf16/documents/sheet.pdf
参考:厚生労働省データ「承認済の新型コロナウイルス治療薬(4月1日時点)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000888699.pdf
上記のことから「経口治療薬もあるから大丈夫」とは言い難い状況であると言えると思います。
今後の対策としては、同じ事の繰り返しになりますが、『ワクチン接種を前向きに検討する』『感染対策をこれまで通りしっかり続ける』ことが安定した感染予防の地盤を作る事だと思います。