クリニックレターvol.65「第4のワクチン ノババックスについて」

内科・循環器内科・糖尿病内科・在宅診療 にしおかクリニック

お知らせ・コラム

NEWS AND TOPICS

お知らせ・コラム

クリニックレター

2022.06.06

クリニックレターvol.65「第4のワクチン ノババックスについて」

東大阪市では4回目接種にかかる接種券について、60歳以上の方には5月31日以降に3回目接種から5か月が経過した方への接種券の発送が始まりだしました。

一方、ワクチンについて同日5月31日から「第4のワクチン」ノババックスの接種が大阪でも始まり話題になっています。今回はこのノババックスについてトピックとしていきたいと思います。

第4のワクチン「ノババックス」は2022年4月に厚生労働省から正式に承認されました。米国のバイオテク企業であるノババックスから技術移管を受けて、国内メーカーの武田薬品工業が製造を行っているワクチンになります。

【ノババックスとは】

ファイザーやモデルナの「メッセンジャーRNAワクチン」ともアストラゼネカの「ベクターワクチン」とも異なりノババックス社製は「組み換えタンパクワクチン」というタイプに分類されます。

vol65_img1.png

【組み換えタンパクワクチンとは】

仕組みとしてはコロナウイルスそのものを増殖させず、抗原となるタンパク質を遺伝子組み換え技術によって作り出します。また製造方法が日本においても、B型肝炎ウイルスワクチンなど、他のワクチンでも実績がある手法を用います。そのため、作り方にも実績があり、ウイルスを介さないワクチンであることから、他のワクチンよりも副反応が少ない可能性が期待されています。

大まかなワクチンのイメージとして、

  1. ファイザーやモデルナなどの『メッセンジャーRNAワクチン』➡ウイルスの設計図の一部を注射することで、体内でウイルスの模型を作らせ、それに対して免疫を獲得する
    vol65_img2.png
  2. ノババックスの『組み換えタンパクワクチン』➡ウイルスの模型その物を注射することで、体内での免役獲得を行う。
    vol65_img3.png

【東大阪では接種できるのか?】

現在、東大阪市でも接種へ向けて調整中です。ワクチンの配給の問題もあり、当院では7月終わりから8月初旬にかけて接種開始を予定しています。

【誰でも接種できるのか?】

現在接種可能な箇所では下記のような条件で接種可能としています。

  • 新型コロナワクチン未接種の18歳以上の府民(初回接種)
  • 新型コロナワクチン2回目接種終了後6月以上の間隔が空いている18歳以上の府民(3回目の追加接種)

※ノババックスは4回目のワクチン接種には適応されません。

【効果について】

1回目の接種についてアメリカとメキシコで行われた3万人規模の臨床試験では90.4%、英国で行われた1万5000人規模の臨床試験では89.7%の発症予防効果が得られていると報告されています。日本国内では血清中和抗体価(スパイク抗体の数値)は、海外でのデータと大きく異ならない結果が報告されています。

現在流行中のオミクロン株への有効性については、厚生労働省では「中和抗体価が若干低いものの一定の値は認められる」と発表しています。

【ファイザーやモデルナと比べて効果は?】

直接比較の研究がありませんので、どちらが優れているかはわかりません。ただ、オミクロン(BA.2)に対しての感染予防効果はファイザー、モデルナ同様に落ちていると思われます。

【安全性について】

主な副反応の報告として、頭痛、関節や筋肉の痛み、注射した部分の痛み、疲労、寒気、発熱等が報告されています。また、まれに起こる重大な副反応として、ショックやアナフィラキシーが報告されていますが、頻度はファイザーやモデルナよりも少ないと言われています。

このワクチンについては、これまでの3種類のワクチンとは仕組みが異なり、アレルギーや副反応が少ない可能性が示唆されています。これからの接種を検討される場合は一つの選択肢にいれていただいてはいかがでしょうか。

一覧にもどる