クリニックレターvol.82「脂肪肝について」

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2023.10.07

クリニックレターvol.82「脂肪肝について」

皆さん、脂肪肝という病気をご存知でしょうか?名前だけ聞くとフォアグラを思い浮かべますが、脂肪肝はとても怖い病気です。今回は脂肪肝とは何か?また、そうならないように心がけるべきことなどお伝えしていきます。

【脂肪肝とは】

肝臓は、右側の肋骨の下、腹腔と呼ばれるお腹の中に位置しています。体重の約50分の1を占めていて、体のなかで最も大きな臓器です。肝臓は栄養素を貯え、変化させたり、体内に入った毒物を分解し、毒のないものに変えたりする働きがあります。ただ、摂取するエネルギーが消費するエネルギーを上回ると、余分なエネルギーはグリコーゲンや中性脂肪につくり替えられ、体にたくわえられます。そのようにして中性脂肪が肝細胞の30%以上たまると脂肪肝と診断されます。

脂肪肝の初期にはほとんど症状はありませんが、やがて肝炎を起こし肝硬変に進行することもあります。

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【なぜ脂肪肝になるのか】

原因のほとんどは過食と多量飲酒であると言われています。ただ、糖尿病やステロイド製剤の服用、栄養障害による代謝異常なども原因になることがあります。よって、肥満であれば脂肪肝がある、瘦せていれば脂肪肝はないとは言えないのです。

昨今、肥満人口の増加に伴い、アルコールは関係なく、過食が原因で脂肪肝から肝炎・肝硬変となる病気のことをNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と呼んでいて、注目されています。この脂肪肝から徐々に進行する肝臓病(肝硬変や肝がんなど)のことをNASH(非アルコール性脂肪肝炎)と呼んでいます(日本消化器学会より)。

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【どうやったら脂肪肝だとわかるのか】

まったく症状がないことが多いので、健康診断の時や、かかりつけの先生から「脂肪肝の疑いがあります」といわれたら、詳しい検査を受けていただくことをお勧めします。脂肪肝の検査や診断では、血液検査と超音波エコーやCTスキャンなどの画像検査を合わせて行うことが一般的です。

  1. 血液検査

AST GOT)、ALT GPT)、γ-GTPなどの数値に異常が出てきます。また、中性脂肪が肝臓に付着する病態であり、中性脂肪が高値を示す場合が多いです。

  1. 超音波エコー・CTMRIなどの画像検査

確定診断には、画像検査が必要です。腹部エコーは、お腹にゼリーを塗り、超音波プローブをあて内臓を観察します。脂肪肝では、脂肪が蓄積された肝臓が、通常よりも均一で、明るく表示されるのが特徴です。

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【脂肪肝の治療は】

内服薬などの治療は基本無く、食事療法、運動療法などで生活習慣を改善することになります。理由は脂肪肝にかかりやすい人は、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を伴うことが多く、またメタボリックシンドロームとも密接に関連しているからです。肥満と診断された場合には、体重の7%を目標に減量し、徐々に標準体重を目指すことが良いと言われています。

【最後に】

人間が痩せるために必要な代謝機能を持っているのが肝臓ですが、そこに脂肪がたっぷり付いた脂肪肝になると肝臓の機能は半減してしまいます。自覚症状がなくても、手遅れにならないうちにきちんと医師の治療を受けることが大切です。

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