クリニックレターvol.89 「高尿酸血症と痛風発作の関係について」

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2024.04.15

クリニックレターvol.89 「高尿酸血症と痛風発作の関係について」

皆さん、こんにちは。今回のテーマは痛風です。痛風は読んで字のごとく、風が当たるだけでも痛いと表現されるくらいの激痛が起こり、経験したくない疾患の一つでもあります。激痛とは別物になりますが、痛風鍋や痛風丼なるものがあり、魚卵や魚介の内臓系をメイン具材にした海鮮鍋や海鮮丼の事を指しています。牡蠣や白子、あん肝など痛風の原因となるプリン体を多く含む具材をたっぷりと使っていることから、こういう名前が付けられています。今回、プリン体が尿酸値をあげて、そこから痛風にいたるまでどのように体内に影響していくのかを解説していきます。

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酒の肴によく食べられるアンコウの肝臓(きも)を蒸した珍味、あん肝のイラストと珍味として食べられるタラなどの魚の精巣、白子のイラストです。

【痛風とは】

血液の中の尿酸値が高い数値になっている状態を高尿酸血症と呼びます。高尿酸血症だけでは、痛風と呼びませんが、尿酸の値が一定のレベルを超えると、尿酸の結晶が出来ます。それが関節内に「落っこちて」関節の中に蓄積して炎症が起こします。炎症による痛みの事を痛風発作、または、痛風性関節炎と呼びます。皆さん、外来受診時は痛みと腫れで歩行困難となり、片側の足を引きずりながら来院されます。関節炎が起こる場所は、足の親指の付け根が最も多く、膝や足首、肘にも多く見られます。

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【高尿酸血症で起こる病気は?】

尿酸はタンパク質のひとつであるプリン体が肝臓で分解されたときにできる老廃物です。プリン体は身体に悪いイメージがありますが、実は細胞の代謝や増殖のために必要な要素でもあり重要な役目を持っています。ただし、体内で処理しきれないプリン体は尿酸となって、血液内で溶けずに蓄積していき尿酸値が7mg/dl以上になると高尿酸血症と診断されます。高尿酸血症だけだと、症状は基本的にありません。よって、高尿酸血症と痛風は別物であり、尿酸が体内で結晶化していくと関節や腎臓などに溜まります。関節に溜まった尿酸の結晶が痛風の原因となり、また、腎臓に溜まった尿酸は、尿路結石の原因となります。痛風そのものは短期間で治まっても、高尿酸血症を治さないことには体内の尿酸結晶はそのまま存在し続けます。

【生活習慣の改善が最も大切な痛風予防】

  1. アルコールの摂取量を控える事です。プリン体は人体でも作られ、痛風発作予防のため、プリン体ゼロのビールを選択してもあまり意味はありません。アルコールその物が痛風発作の原因となるため、全体的な節酒は必要になります。
  2. 肥満のある方は体重減少が何よりもの治療法になります。肥満体はプリン体を合成しやすくするため、尿酸の排泄機能が機能しにくいため、適切な体重に戻るために栄養摂取のコントロールが重要です。
  3. 尿酸値が高いと尿が文字通り酸性に傾くためにアルカリ化することができる野菜、キノコ、海藻はとても大事な栄養源になります。水をたくさん飲むこともよいです。
  4. 有酸素運動も大事になるのですが、激しすぎる運動は新陳代謝を活発化させすぎて逆に尿酸値が高まる可能性があるため、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を推奨いたします。
  5. ストレスをためないことが大事です。脳を酷使していると尿酸値に影響すると言われています。リラックスできる環境を整えていきましょう。

【最後に】

痛風発作が一旦起こってしまうと、関節内で尿酸結晶が炎症を起こしているため、痛みを抑える薬によって治療をします。痛風発作中に尿酸値を下げる薬を希望される患者さんがいますが、発作中に血液の尿酸値を下げる薬を開始すると、血中から関節への尿酸結節の移行が促進され、関節の痛みが増強すると言われています。一旦発作が起これば、痛み止めで嵐が去るのを待つしかありません。ただ、尿酸値が高いだけでは、無症状であるため、放置されがちですが、健康診断などで尿酸値が高いことを指摘された場合は、早めにかかりつけのクリニックで相談してください。

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