クリニックレターvol.95 「頻尿について」

2024年7月13日

皆さん、こんにちは。今回のテーマは頻尿です。頻尿とは、トイレに行く回数が通常よりも多くなる状態です。これには様々な原因があり、日常生活に影響を与える事があります。頻尿は高齢者のみとのイメージがありますが、若い方から高齢者まで幅広く見られます。頻尿の原因や対策について知っておくと安心ですので、一緒に見ていきましょう。

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【頻尿とは】

頻尿の症状で悩んでいる人は全国で200万人以上、尿失禁でほぼ毎日悩んでいる人は80万人以上、年に1~2回以上の尿失禁は600万人以上いるといわれています。頻尿とは、『日中の排尿回数が8回以上の場合』『夜間に2回以上トイレに行く状態』を頻尿と定義づけています。しかし、1日の排尿回数は人によって様々ですので、必ずしも1日に何回以上の排尿回数を異常とは言えません。8回以下の排尿回数でも自分自身で排尿回数が多いと自覚症状がある場合には頻尿といえます。

<受診の目安>

  • 我慢できない尿意が急にくる(頻回に見られる)
  • 尿が濁る(白っぽい色)
  • 残尿感がある(おしっこの後もいきんで絞り出そうとする傾向がある)
  • 最近、トイレの回数が通常よりも増えたと感じる

【頻尿の原因とは】

  1. 過活動膀胱

    膀胱に尿が十分に溜まっていないのに、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮するという病気で急にトイレに行きたくなって我慢ができない尿意切迫感という症状があり、頻尿の原因になる病気です。過活動膀胱は日本で1000万人以上の男女が罹患する頻度の多い病気です。

  2. 前立腺肥大症

    前立腺は男性にだけある臓器で、加齢とともに肥大して尿道を圧迫していくと言われています。70歳代の男性のうち12%の方は、前立腺肥大症の症状があると言われています。

  3. 尿路感染・炎症

    尿路感染は、細菌などが、尿道や血流から膀胱に侵入することで起こります。女性は尿道が短いため男性より感染しやすく、細菌によって尿路感染症を患った20~50歳の女性の数は、同年齢の男性の約50倍という報告もあります。細菌などによる感染症や炎症が起こると、膀胱の知覚神経が刺激されて頻尿になると言われています。

  4. 多尿

    多尿とは1日の尿量が著しく増えた状態をいいます。膀胱や尿道に問題がなくても、糖尿病などの内分泌疾患、水分の多量摂取、薬剤(利尿剤)による尿量の増加が頻尿の原因となります。この場合には、1回の排尿量は正常(150~200ml以上)であるにも関わらず、何回もトイレに行くことになります。

  5. 加齢

    年齢とともに膀胱機能が低下し、頻尿になりやすくなります。

  6. 心因性

    排尿回数が多いとき、膀胱や尿道、尿の量などに問題がないにもかかわらず頻尿の症状が見られる場合は、心因性頻尿の可能性があります。

【頻尿の対処法】

生活習慣の改善:まず、利尿作用のあるカフェインやアルコールの摂取を控える事です。特に夜間頻尿の方は、夕食後以降のアルコールはもちろんの事、緑茶にもカフェインが含まれているため、注意が必要です。また、水分摂取量(特に寝る前)に気を付けていただくことです。成人が1日に必要とする水分摂取量の目安は、飲水と食事を合わせて体重1kgあたり35mlとされています。例えば、体重60kgの方であれば2.1Lが目安となります。

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いらすとやより

薬物治療:過活動膀胱や前立腺肥大症には適切な薬を使用することで、頻尿の改善が見られる場合があります。お困りの方は、是非、当クリニックにご相談ください。

骨盤底筋体操:骨盤底の筋肉群を鍛えるためのトレーニング方法です。骨盤底筋は、膀胱、直腸、子宮(女性の場合)などの臓器を支える重要な役割を果たしています。また、尿道や肛門の周囲にあり、排せつをコントロールする機能を持っています。この体操により、頻尿や尿漏れなどの症状改善に効果があると期待されています。

【最後に】

頻尿の原因はさまざまです。生活習慣を見直すなどして改善する場合もありますが、病気が原因の場合もあり、正しい原因把握と治療が必要です。尿検査や採血で炎症反応などから診断することもできますので、気になる症状がある場合はいつでもご相談ください。

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