クリニックレター
2024.08.16
クリニックレターvol.96 「めまいについて」
めまいを感じたことはありますか?この不快な感覚は突然に訪れることがあり、時には日常生活に支障をきたすことも。めまいは、症状としては単純かもしれませんが、その背後にはさまざまな原因が隠れていることがあります。このレターでは、めまいがどのようなものか、何が原因で起こるのか、そしてどのように対処すれば良いのかを、わかりやすく説明していきます。
めまいについて
「めまい」とは、頭がふらつく、目が回る、グルグル・フワフワ・フラフラ・クラっとする、目の前が暗くなる、立ちくらみ、物が揺れて見えるなどの症状のことを指します。めまいを引き起こす病気はさまざまであり、緊急性や対処方法、受診すべき診療科も異なります。
主な症状※
- 自分がぐるぐる回っているような感じ
- 天井がぐるぐる回るような感じ
- 地面がふわふわ揺れている感じ
- 船に乗っているようにふわふわする感じ
- 乗り物酔いのような気持ち悪さ
- 立ちくらみ
※めまいに伴うその他の症状としては、耳鳴り、難聴、胸の不快感、頭痛、目の見えにくさ、意識消失などがあります。
めまいの原因とは
身体の平衡感覚やバランス感覚は、脳や耳、循環器、首などが複雑に相互作用しながら行われています。これらの部位に異常が起こるとめまいに繋がっていきます。特に多いのは、内耳にある場合が60%以上(特に良性発作性頭位めまい症が一番多い)と言われています。
内耳周囲の病気:良性発作性頭位めまい症※、メニエール病、前庭神経炎などが原因となります。
脳が原因の場合:脳梗塞や脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍などが原因となります。
首が原因の場合:筋緊張性頭痛や頸椎椎間板ヘルニアなどの整形外科疾患が挙げられます。
その他の原因:薬剤の影響や加齢に伴う臓器機能の衰え、低血圧などもめまいの原因となります。
良性発作性頭位めまい症 (頭位変換性良性めまい)について
※半規管の根元にある「耳石(じせき)」と呼ばれる炭酸カルシウムの結晶が何らかのきっかけで剥がれ落ち、半規管のいずれかに入り込み、その刺激でめまいが引き起こされます。
ACイラストより
めまいの診断方法について
めまいの原因を特定するためには詳細な問診や身体診察が欠かせません。推定される原因に応じて、以下の検査が行われます。
- 血圧測定(起立性低血圧や迷走神経反射による血圧低下などの関与も調べます)
- 頭部・頸部CTエコー、場合によって頭部のMRI(頸動脈の詰まりや脳梗塞、脳出血の有無を調べます)
- 血液検査(貧血などのチェック)
- 心電図(症状がある時に脈が遅くなる徐脈や脈が速くなる頻脈の有無をチェックします。不整脈の有無もチェックします)
- カロリックテスト(冷たいまたは温かい水を外耳道に流し入れ、内耳の反応を観察します)
予防法と治療
めまいの治療は原因疾患に応じて異なります(脳であれば脳、耳であれば耳の対処)。
予防としては健康に気を付けて、睡眠時間やバランスの取れた食事はもちろんですが、良性発作性頭位めまい症と診断された方は下記について気を付けていただくと、耳石が落ちにくいと言われています。
- 同じ方向で横向きに寝ない
- 寝返り運動を行う
- 頭の位置を高くして寝る
最後に
めまいは多くの原因によって引き起こされる症状です。その原因を早めに特定し適切な治療を行うことが重要です。日常生活でめまいを感じた際には、無理をせず安静にし、必要に応じて、かかりつけ医を受診するようにしてください。